Gallery Kawafune ギャラリー川船

高田啓二郎展
2001年5月21日(月) - 6月23日(土)

 高田啓二郎の遺作展は今回で3回目です。あらためて彼の作品をまのあたりにすると、恰も清冽な渓流に身を浸したかのような身震いを覚えます。彼の、負った宿命と真っ向から切り結んだ<生>の軌跡が、観るものをして自ずと粛然として祈りにもにた感情を呼び起こすのでしょう。
 高田啓二郎の<生>を否応無く決定づけたのは病魔でした。思春期を迎える15、6歳にして、既に彼は自身のさほど遠くない先に、確実におとずれる<死>を見据えています。いや、恐れ、慄きます。
 自己愛と自己憐憫。初期の高田の絵は描き続けることで、やがて、他者を隔絶した絶対的孤独の相貌をみせます。あまりにも凍てついた、それは慄然たる顔・顔・顔です。
 高田啓二郎の境地を、一体何があれほど変えていったのでしょうか。
 いま判ることは、絶対的孤独に射し込んだ一条の光---他者にあらためて向けられた彼の限りなく優しい眼差しが、みずからの懊悩をも救い、癒していったということだけです。
 彼の限られた<生>を照らし続けたものは、彼の作品をとうし、あなたをも照らすことでしょう。

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